社会福祉法人 長いスプーンについて

法人案内

代表のご挨拶

「特定非営利活動法人 長いスプーン」は平成20年に知的障がいのある人々が暮らす「グループホーム カメラーデン」を、平成24年には「特定相談支援 カメラーデン相談支援事業所」を立ち上げ、平成25年には障がいある人々の働く場として多機能型事業所(就労継続支援A型、B型)「工房くまごろう」を設立し、障害福祉サービス事業所として地域で活動してきました。そして、障がいある人々の自立生活に向けての訓練を重ね、彼らが一市民として暮らすことができるように支援し日々訓練し、現在に至っています。
しかし、障がい者をとりまく環境は依然として厳しく、グループホームは不足し、作業所での工賃はわずかばかりで、個々それぞれの持つ能力に見合った仕事が得られているのかといえば、そのほとんどが選択肢のない単純作業でしかないのです。そこでのわずかな工賃と年金を合わせても慎ましやかな生活で我慢しなければならないのが現状です。
与えられた作業ではなく、自分の希望する仕事に就きたい、その収入で好きな物を買ったり、自由に旅行もしてみたい、と願うのも人として当然のことでしょう。この地域に暮らす在宅、グループホームあるいは入所施設で暮らす障がい者の多くは、少しの支援があれば地域で生活し、喜びを見出す作業仕事に就くことも可能でしょう。中には健常者以上に才能を発揮できる障がいある人々がいることも事実です。障がい者が自立して暮らすことができるグループホームや働く場がもっとあれば、入所施設や病院から街に出ることも容易でしょう。障がいある人々もない人々もあたり前の隣人として生活することで、社会の差別や偏見がなくなり、地域が明るく互いに支え合うことのできる社会になるに違いありません。
就労継続支援A型で働く人々はもちろん、就労継続支援B型で作業する人々も大勢集まった時には大きな労働力となるでしょう。障がい者一人一人と向き合い、ことばに耳を傾けてみれば、彼らの持っている独自の時間とかリズムあるいは考え方は、現代社会が失ってきた貴重で価値あるものであることに気づきます。しかし、そうした彼らの価値を否定しつづけてきた現代社会の価値観が絶対であるということも言えない時代になっているのではないでしょうか。障がい者の持つそれらは「ゆっくリズム」という表現にふさわしいもので、競い合いではない共生共助の世界がそこにはあるのではないでしょうか。
障害者自立支援法から、それに続く障害者総合支援法の理念は、入所施設や病院から街へ、隔離から共生へ、制度の谷間にいる在宅の全ての障がい者を受け入れ、彼らが自由に安全に暮らすことができる社会を保障することにあります。また、この理念は、超高齢化時代を迎えている我々の社会を支える根本的理念でもあるでしょう。住み慣れた生まれ故郷の自然の中で日常を暮らす、という共生社会を支える事業こそ、我々の目指すものです。障がい者を社会から隔離するのでもなく、競争原理にさらすのでもなく、安心して生活する場所を提供し、自分のリズムで働きながら社会復帰を目指せるように支援する福祉事業こそ今求められているものと思います。
我々は以上の考えを基本とし、社会福祉事業の主たる担い手として、「社会福祉法人長いスプーン」を運営し、経営基盤の強化を図っていきたいと考えています。